ヤギネの日常

ヤギネの日常です。

【備忘録】ジョー・ヒル作「怪奇疾走」より『遅れた返却者』の感想【読書】

これは個人的な読書記録(備忘録)です。

なお、私の趣味はかなり偏りがあるため、大概の人は興味がない内容だと思います。

 

今、読書中の本。
S・キングの息子であるジョー・ヒルの短編集「 怪奇疾走 」。

現在6話目まで読んだのですが、その中の『 遅れた返却者 』という小説に心を動かされたのでメモがてら感想を書いておきます。

 

< 簡単なあらすじ >

年老いた両親が心中を図り、おまけにトラック運転手の仕事をクビになった主人公の青年。

遺品の整理中に返却日を大幅に過ぎた図書館の本を見つける。

彼の母親が借りていたものだ。

こっそり返却するために図書館にいった青年は、そこで移動図書館の運転手の職が空いていることを知る。

すんなりと新しい職が決まった青年だったが、実はその移動図書館は時折過去の人物(遅れた返却者)が迷い込んでくる不思議な乗り物だった。

過去からタイムスリップし、移動図書に迷い込んでくる返却者の条件は「 返し忘れた本があること 」、そして「 死が間近に迫っていること 」

移動図書の運転手は、そんな彼らにぴったりと合う『 未来の本 』を貸し出す。

< 感想 >

冒頭から両親の心中(父を介護していた母が認知症を患い、息子に負担をかけたくないという理由)で始まるためかなり重い。

でも、読み進めていくうちに、悲しいけども優しさもある世界に引き込まれていった。

現在と過去の時間軸が交錯し、絡み合う。

過去の人間に未来の本を貸すことで、現在の世界が壊れてしまうのではないか?、というハラハラ感。

最初は無関係に思われた登場人物たちの物語が重なり、つながっていくところも面白かった。

とにかく切ないんだけども、でも希望も残る、そんな短編小説。

読書が好きな人向けです。